ほぼすべてのスマートフォンやノートパソコンはDRAMと呼ばれるメモリーチップを搭載している。米国の訴訟では、これらの大半を製造する3社が供給を制限し、価格を高止まりさせていると主張している。
これまでにも同様の指摘があった。その数日後、同じ3社が総額6500億ドル規模の投資計画を発表。AIブームによる供給不足が原因とした。
2005年、サムスンはメモリー価格の協定を認め、3億ドルの罰金を支払った。米国史上2番目に大きな制裁だった。幹部の一部は服役した。新たな訴訟は同じ幹部らがその後復職したと指摘する。
新たな訴訟はカリフォルニア州の連邦裁判所で進行中。原告は14人と小規模なパソコン販売店3社が含まれる。原告側の弁護士事務所ヘイゲンズ・バーマンは、過去の同種訴訟でも勝訴した実績がある。
訴状によれば次のような仕組みがある。AI用メモリーチップは通常品よりも高額で取引される。原告側は、3社が生産体制をAI用メモリーチップ中心に振り分け、一般用途向けの供給を絞ったと主張している。その結果、一般向けメモリーの価格は4年間で約7倍になった。
消費者は他社品を簡単に選べない。サムスン、SKハイニックス、マイクロンの3社で世界のDRAMの約90%を生産する。新工場の建設費は150億ドル以上、完成にも数年かかる。
訴訟の直前には大型発表が控えていた。6月29日、サムスングループは今後10年間で約6500億ドルの投資を表明。SKグループも類似の半導体投資計画を発表した。
両社は「投資計画が需要の実在を証明している」と強調している。サムスンとSKハイニックスはそれぞれ2工場を新設予定。両社でAI向けメモリーのシェアは全体の約80%にのぼる。
マイクロンも同様の弁明をしている。昨年12月、29年続いた人気ブランド「クルーシャル」を終了させたが、この判断も価格高騰期に合わせた動きだった。市場ではマイクロンのAI戦略に評価が分かれている。
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一方、原告側の見方は異なる。なぜ最も利益が出ている時期に人気事業を撤退するのか。供給抑制のためではないか、との指摘がある。
投資家の反応は厳しかった。サムスン株は5.3%、SKハイニックスは3.4%下落。アップルはすでに一部製品の価格を値上げし、コスト転嫁を始めている。
供給逼迫の解消は当面見込めない。ジェフリーズ銀行の予測では、今四半期にメモリー価格が約50%、次の四半期には40%上昇する見通し。2028年まで実質的な改善は期待できないとみている。
原告勝訴は容易ではない。過去に同種訴訟は2度敗訴している。価格上昇のみでは共謀の証拠とならないとの司法判断だった。
今回は追加証拠があると主張する。同じ3社、同じ製品、さらに過去に服役した一部の幹部までもが加わっているという。

