DeFi(ブロックチェーン上で金融機能を動かす仕組み)ではTHORChainの再稼働、sUSD再設計、ENS DAO(投票で運営方針を決める組織)の権限見直しが重なり、拡大より修復と運用整理が前面に出ています。利用者資産と権限設計が焦点です。
DeFiでは、新規拡大よりも、停止、再稼働、清算、権限設計の見直しが前面に出ています。THORChainは5月の1,070万ドル規模のexploit(仕組みの弱点を突いた不正利用)に関連する停止を経て、火曜朝に署名、churning(ネットワーク参加者の入れ替え処理)、スワップ、流動性提供者向け操作を再開しました。
一方で、SwellはEthereum Layer 2(Ethereum本体の外側で取引を処理し、混雑や手数料を抑える仕組み)のSwellchainを終了する手続きに入りました。Swellは4月にSwellchainの終了を公表し、6月15日までの出金を示していましたが、6月16日の案内とホームページでは6月23日までに資産をブリッジ(異なるチェーン間で資産を移動する接続部分を使うこと)するよう求めました。
Goldfinchでは、GIP-87が新規プロトコル開発の停止、Goldfinch Primeのwind-down(段階的な終了作業)、レガシーアプリへのアクセス維持、米国信託構造の作成、Warbler Labsへの15万USDCのwind-downサービス支払いを提案しています。
Swellchainの終了では、単にブリッジボタンを押すだけでは済まない利用者資産が焦点になっています。DeFiポジションには、流動性ポジション、借入資産、ラップされたトークン、プロトコル固有の請求権が含まれる場合があり、Ethereumへ戻す前に個別の解除が必要になります。
SwellはweETH、KING、wstETH、USDe、sUSDe、ENA、ezETH、rsETH、EUL、XVELO、oUSDT、USDT0などがチェーン上に残っている可能性を示しました。DeBankがSwellchainのサポートを終えたため、利用者がポートフォリオ画面だけで残高を把握できない点も問題です。
この事例は、アプリチェーンの終了がロードマップ上の方針転換だけでなく、利用者の資産回収手順そのものになることを示しています。
sUSDでは、Synthetix創業者のKain Warwick氏が、1年以上にわたるデペッグとtreasury(プロジェクト資金の管理枠)の問題を認め、SNX裏付けのステーブルコインを段階的に終了し、Basis Vaultへ置き換える方針を示しました。
ステーブルコイン(価格を特定の通貨などに連動させる暗号資産)は、ペッグが崩れると利用者の決済・担保・運用の前提が揺らぎます。sUSDの再設計は、単なる価格調整ではなく、裏付け、財務管理、今後の発行モデルを組み直す問題です。
GoldfinchのGIP-87も、RWA融資の成長局面から回収局面への移行を示しています。Goldfinchの元のプロトコルは約1億ドルの融資を可能にしましたが、複数の借り手プールに深刻なパフォーマンス問題がありました。
6月23日時点の公開データでは、GoldfinchのTVLは約163万ドル、アクティブローンは約5,615万ドルです。TVLはプロトコル内に残る流動性を示し、アクティブローンは返済・管理・回収が必要な信用残高を示します。
Goldfinchの15万USDC支払い案は、成長のための開発予算ではなく、保守、アプリ継続、法務管理、既存債務の回収作業に向けた予算です。これは、トークン保有者が新機能ではなく、信用回収の運営方針を判断する段階に入ったことを意味します。
Lend Eastプールでは、2024年4月時点で1,015万ドルのGoldfinchプールに対し、約425万ドルの返済が見込まれていました。これは最終結果ではありませんが、RWA融資の損失処理が、交渉、法的手続き、回収期間を伴う現実的な作業になることを示しています。
ENS DAOでは、プロトコルtreasuryに対するENS Foundationの権限を広げる提案をめぐり、代表者の反対が強まりました。Security Councilのメンバーの一人は、この提案をガバナンス攻撃と呼んでいます。
ENS Labs創業者のNick Johnson氏は、すでに十分なトークンを自己委任している状態です。DAOでは、投票権の委任先とtreasury管理の範囲が、実質的な統治力を左右します。
今回の論点は、資金を誰が管理し、どの範囲までFoundationに任せるのかという設計です。DeFiの再稼働やwind-downと同じく、ENS DAOの事例も、暗号資産プロジェクトが成熟するほど運営権限と利用者保護の設計が重要になることを示しています。


