SecuritizeのNYSE上場計画を軸に、RWA(株や不動産などをブロックチェーン上で扱う仕組み)、ファンド記録のオンチェーン化(ブロックチェーン上で直接処理される形へ移すこと)、ステーブルコイン準備金の動きがつながっています。銀行向けレールと日常決済の双方で制度化が進む局面です。
トークン化企業Securitizeは、SPAC合併を通じてニューヨーク証券取引所に上場する計画です。上場後のティッカーはSECZで、7月2日の取引開始が予定されています。
Securitizeは、BlackRockのトークン化ファンドBUIDLを支える企業として知られています。今回の合併では、買収会社の株主のうち償還を選んだ比率が30%未満にとどまり、上場時に4億ドル超の現金を確保する見込みです。
この上場計画は、トークン化が実験的な金融技術から公開市場で評価される事業へ進む節目になります。未公開企業やファンドだけでなく、上場株式市場の中でトークン化企業の収益性、顧客基盤、規制対応が比較される段階に入ります。
英国の資産運用会社Baillie Giffordは、BAGEYを通じて、規制された英国ファンドの所有記録にパブリックブロックチェーンを使うモデルを進めています。同社は2860億ポンド超、ドル換算で3770億ドル規模の運用資産を持ちます。
BAGEYは、EthereumとSolana上で発行される英国規制下のネイティブなトークン化ファンドとして説明されています。BNYがトークン化とウォレット基盤を提供し、NatWest Trustee and Depositary Servicesが預託機関を務めます。
ここで重要なのは、既存ファンドをブロックチェーン風に包むだけではなく、投資家の保有記録そのものにオンチェーン記録を組み込む点です。トークン化の焦点は、単なる販売チャネルから、所有記録、決済、移転、担保利用を支える管理基盤へ広がっています。
ステーブルコインは、暗号資産市場の決済手段にとどまらず、短期国債市場にも影響する存在になっています。国際決済銀行の分析では、5日間で35億ドルのステーブルコイン流入があると、3カ月物米国短期国債利回りが10日以内に約4ベーシスポイント動く可能性が示されました。
ステーブルコイン発行体は準備資産として短期国債を多く使うため、発行・償還の動きはオンチェーンのドル需要と国債市場をつなぎます。中央銀行や規制当局にとって、ステーブルコインは暗号資産の一部であると同時に、ドル資金市場の観測対象にもなっています。
Invescoは、ステーブルコイン準備金を支えることを想定したマネーマーケットファンドを米国証券取引委員会に届け出ました。同社は2兆4500億ドルの運用資産を持つ資産運用会社で、同ファンドは公的ブロックチェーン上にトークンとして記録される株式を設計に含みます。
Chainlinkと50超の金融機関は、16カ国にまたがるProject Pangeaを開始しました。対象は1日9兆6000億ドル規模の外国為替市場で、T+0のアトミック決済を目指します。アトミック決済は、取引の受け渡しと支払いを同時に完了させる仕組みです。
Digital Assetが構築するCanton Networkも、機関投資家向けブロックチェーン基盤として存在感を高めています。Canton Networkは、30日間で6020万ドルの手数料を生み、同期間の手数料ランキングで上位に入りました。
銀行がステーブルコイン、Bitcoin保管、トークン化ファンド決済を扱える制度面の道は広がっています。一方、バーゼル委員会の暗号資産基準では、無担保暗号資産に1250%のリスクウエイトが設定されています。8%の最低自己資本比率を掛けると、Bitcoinのような資産を銀行が自己勘定で持つ場合、実質的に同額の資本を置く必要があります。
制度上の許可と、資本コストの重さは別問題です。トークン化やステーブルコインの実用化は、技術だけでなく、銀行が保有・決済・担保化を採算に乗せられるかにも左右されます。
RWAは、国債やファンドだけでなく、消費者向けアプリにも広がっています。Collector Cryptは、ランダムなカードパック、USDCでの買い戻し、物理カードの引き換え、CARDSインセンティブを組み合わせ、コレクションカードを扱うRWAモデルを展開しています。
6月24日時点のDeFiLlamaデータでは、Collector Cryptの年換算手数料・収益は6098万ドル、30日間では1515万ドル、7日間では416万ドルでした。30日間のDEX(運営会社なしで取引できる交換所)取引高は1億4239万ドルです。カード販売、マーケットプレイス取引、パック買い戻しが分解されており、利用状況を比較しやすい形になっています。
決済面では、Oobitが6月23日にブラジルのPixへ接続しました。ユーザーは対応する暗号資産やステーブルコイン残高を使い、Pixキーへの送金やPix経由の入金を行えます。ブラジルレアル建ての送金は通常数秒で届く設計です。
トークン化とステーブルコインの焦点は、価格投機から運用、決済、所有記録、消費者体験へ広がっています。RWA市場全体では、自由移転可能なトークン化資産の価値が過去30日で約1.4%減り、約315億ドルになりました。成長の次の段階では、発行額だけでなく、実際の利用、手数料、償還、法的な所有記録が問われます。


