暗号資産M&A、伝統金融によるインフラ取得、採用縮小、AI・コンプライアンス偏重を整理します。暗号資産M&A、伝統金融によるインフラ取得、採用縮小、AI・コンプライアンス偏重を整理します。

暗号資産M&A拡大で伝統金融のインフラ取得が加速

2026/07/31 14:46
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ニュース概要
暗号資産M&A、伝統金融によるインフラ取得、採用縮小、AI・コンプライアンス偏重を整理します。
暗号資産M&A拡大で伝統金融のインフラ取得が加速

暗号資産M&A拡大で伝統金融のインフラ取得が加速

相場低迷のなかでも、暗号資産業界ではM&Aと伝統金融によるインフラ取得が進んでいます。採用は慎重でも、AI、コンプライアンス、規制下デリバティブへ資源が寄る流れです。

  • 暗号資産M&Aが低迷相場で拡大
  • 伝統金融の取得が加速します
  • AIとコンプライアンス人材へ集中

低迷相場と暗号資産M&Aの拡大

暗号資産市場では価格低迷が続く一方で、企業買収とインフラ投資が活発化しています。2026年第2四半期の暗号資産関連M&Aは72億3,000万ドルに達し、第1四半期の21億4,000万ドルから大きく増加しました。上半期全体では93億7,000万ドルが取引に投入され、前年同期比では26倍の増加です。

この動きは、単純な強気相場の再開ではありません。ビットコインが約2年ぶりの安値圏で推移し、暗号資産企業の人員削減が続くなかで、資本は広い成長投資から実用インフラの取得へ移っています。銀行、カードネットワーク、決済企業、取引会社、資本力のある暗号資産企業は、決済基盤、カストディ、規制ライセンス、市場インフラを買収対象にしています。

既存の金融機関にとって、暗号資産関連技術を一から構築するには時間と規制対応コストがかかります。そのため、すでにライセンスや顧客基盤を持つ企業を取得し、規制下の金融サービスへ組み込む動きが強まっています。

伝統金融によるインフラ取得

伝統金融の参入では、ステーブルコイン、決済、トークン化証券、カストディが中心になっています。Mastercardはステーブルコイン企業BVNKを18億ドルで買収し、ステーブルコイン決済に必要な技術とライセンスを取得しました。

Intercontinental Exchangeは予測市場プラットフォームのPolymarketを支援し、Citadel Securitiesはブローカレッジ事業者Alpacaへ投資しました。Standard Charteredのベンチャー部門はマーケットメイカーのKeyrockへ資金を入れています。運用資産1兆7,000億ドル規模のFranklin Templetonは、250 Digitalの買収を通じてFranklin Cryptoを立ち上げ、暗号資産運用商品を自社顧客へ提供する体制を整えました。

規制面では、EUの暗号資産規制であるMiCAが統一的なライセンス基準を示し、米国のステーブルコイン法制化も長期投資の判断材料になっています。買い手が重視するのは、単なるトークン価格の上昇余地ではなく、ブローカー・ディーラー機能、銀行チャーター、登録投資顧問の資格、カストディ能力などです。

採用縮小とAI・コンプライアンス偏重

企業買収の拡大とは対照的に、暗号資産業界の採用は縮小しています。2026年6月時点の世界の暗号資産関連求人は2,932件にとどまり、2021年から2022年前半の拡大期とは大きく異なる状況です。北米と欧州の求人は約40%減少しており、Gemini、Coinbase、Kraken、Algorand、Crypto.com、Ethereum Foundationなどで人員削減が続いています。

採用の中身も変わっています。AIスキルを求める求人の割合は、2025年初めの23%から2026年3月には53%超へ上昇しました。企業は全体的な採用拡大ではなく、自動化、ライセンス取得、リスク管理、基幹インフラ維持に必要な人材へ採用を絞っています。

職種別では、エンジニアリング職が求人の約34%、法務・コンプライアンス職が約10%を占めます。中央集権型取引所ではコンプライアンス職が16%を占め、営業・事業開発職を2倍超上回っています。ステーブルコインと決済領域の求人もTetherとRippleに集中し、この2社だけで同分野の求人の80%超を占めています。

規制下デリバティブと信用インフラ

米国では規制下の暗号資産デリバティブも次の焦点になっています。KalshiEXのBTCPERP契約は5月29日にCFTCの承認を受け、ビットコインのスポット価格を参照する先物契約として扱われています。Kalshiはビットコイン、イーサリアム、ソラナ、XRP、HYPEなどの暗号資産パーペチュアル先物を提示しています。

パーペチュアル先物は満期のない先物取引で、資金調達率によって現物価格との乖離を調整します。Kalshiの説明では資金調達は8時間ごとに発生し、6月3日時点のレバレッジ例はビットコインが5.9倍、イーサリアムが4.5倍、ソラナが2.7倍、XRPが2.8倍、HYPEが2.2倍でした。今後は上場そのものより、スプレッド、板の厚み、資金調達率、手数料、API、担保管理の使いやすさが評価軸になります。

信用市場でも、2022年の破綻後に制度設計の再構築が進んでいます。MapleとKrakenの倉庫金融ファシリティは、USDC建て融資をBTCとETH担保で組成し、Kraken Financialが担保を保管する構造です。Kraken関連会社は融資の組成・販売・回収を担い、劣後部分を保持するため、シニア貸し手より先に損失を吸収します。

暗号資産担保融資の残高は2026年第1四半期末に674億2,000万ドルで、前四半期比5.1%減、2025年第3四半期の高値から14.3%減でした。DeFi融資アプリの残高は282億2,000万ドル、CeFi貸出の未返済額は254億3,000万ドルでした。トークン化クレジットの分散価値は6月25日時点で57億3,000万ドル、Mapleは約14億ドル、シェア24.6%を占めています。

現在の資本移動は、投機的な暗号資産プロジェクトから、規制下で金融機関が使えるインフラへ向かっています。相場低迷は弱い企業を圧迫していますが、同時にライセンス、決済、カストディ、信用、デリバティブの基盤を持つ企業の価値を押し上げています。

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