米ビットコイン投資企業ストラテジー(旧マイクロストラテジー:MSTR)は22日、現金準備金を大幅に積み増したことを明らかにした。米国証券取引委員会(SEC)への提出書類によると、同社は7億4,800万ドル(約1,174億円)を現金準備金に追加したという。
これにより、同社が確保している現金準備高は、初期の14億4,000万ドル(約2,261億円)から21億9,000万ドル(約3,439億円)へと拡大した。この現金準備金は、同社が発行する優先株の配当、および負債の利払いを支えるために設けられたものである。
資金の原資には、クラスA普通株式のATMプログラム(市場価格での株式売却枠)による売却収益が充てられている。同社はこの準備金で少なくとも12カ月分の配当・利払いをまかなう方針を示しており、最終的には24カ月以上のカバーを目指すとしている。
この動きは、セイラー氏が掲げる「ビットコイン財務戦略」をより盤石にするものだ。手元の現金を厚くすることで、相場変動時でもビットコインを売却せずに、配当や利払いを継続できる体制を整える狙いがある。
一方、過去2週間にわたって
BTCを買い増してきた同社だが、今週は買い増しを行わなかったようだ。買い増しは停止したものの、ストラテジー社のビットコイン保有量は67万1,268BTCと同社史上最大規模を維持しており、前週からの変動はない。
今回のストラテジー社の動きは、積極的なビットコイン蓄積と財務安定性のバランスを取り始めた表れといえよう。巨額のビットコインを保有しつつ配当原資を確保したことは、同社が株主還元と流動性管理を重視する持続可能な戦略へ移行していることを示唆している。
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