2025年12月23日、分散型クレジット市場のSolstice Labs(ソルスティス・ラボ)は、機関投資家向け暗号資産(仮想通貨)プラットフォームのCor Prime(コー・プライム)とともにパブリックブロックチェーン上で初となる「機関投資家向けのステーブルコイン同士のレポ取引」を完了したと発表した。この取引にはMembrane Labs(メンブレン・ラビ)もインフラ提供者として参画し、Solana(ソラナ)とEthereum(イーサリアム)のネットワーク上で実行された。

レポ取引とは、保有する資産を担保に一時的に資金を借り入れ、将来的に買い戻すことを約束することによって短期資金を調達する金融手法だ。TradFi(伝統的金融)では国債などが担保に使われるが、今回はSolsticeのステーブルコイン「USX」を「担保」に、Cor Primeが「USDC(USDコイン)」を「現金」として貸し出した。

その意義は、機関投資家向けに設計されている点だ。TradFiで一般的な法的枠組みと信用インフラをブロックチェーン上に再現することで、機関投資家に求められるコンプライアンスやリスク管理を担保しつつ、市場参加の敷居を下げる狙いがある。DeFiでは一般的なオーバーコラテラライズド(過剰担保)ローンや自動貸借プールと異なり、レポは透明性や法的な確実性を兼ね備え、より洗練された資金調達手段として受け入れられる可能性がある。

また、ステーブルコインで行う意味も大きい。ペッグした資産に対する価格変動が極めて小さいため、短期資金取引における価値保存手段として適しており、オンチェーンでの移転完了までのスピードや透明性によってグローバルな決済アクセスと相性がよい。USXとUSDCのようなステーブルコインを用いることで、従来の銀行間市場に匹敵する流動性供給がブロックチェーン上で可能になる。

今回の取引は、パブリックブロックチェーン上に「標準化された資金調達市場」が構築される第一歩となるだろう。ステーブルコイン市場における資金調達コストの低減、ヘッジ戦略の高度化、オンチェーン金融の成熟などによって、数兆ドル規模のレポ市場がオンチェーンへと移行する歴史的な転換点になるかもしれない。

|文・編集:井上俊彦
|画像:Solstice Labs

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