金融庁が、暗号資産(仮想通貨)を担当する部署を「課」に昇格させる方針を固めた。日本経済新聞が25日に報じた。現行の「暗号資産・ブロックチェーン・イノベーション参事官室」を格上げし、2026年7月の次期事務年度から、発行者や暗号資産交換業者に対する監督体制を本格的に強化する。

あわせて、金融機関を監督する監督局を2つに分割し、業態別の監督体制を再構築する。暗号資産の投資対象化や、ETF、トークン化商品の登場などを通じて、伝統的金融(TradFi)との融合が進み、金融サービスの領域が拡大していることを受けたものと言える。

「暗号資産・ブロックチェーン・イノベーション参事官室」は2025年7月に新設された。初代参事官には今泉宣親氏が就任。同氏は、政策評価室長や市場企画室長などを歴任し、長年にわたり日本の金融行政改革や資産運用改革の中核を担ってきた人物だ。

NADA NEWS(旧CoinDesk JAPAN)は、参事官就任直後に今泉氏へのインタビューを行っている。

また、今泉参事官は24日、Fintech協会が開催した 「聖夜(イヴ)に語るデジタル通貨・ステーブルコインの未来 ― JFW 2026 ラウンドテーブル Prelude Part 1」に登壇。

ステーブルコインに対する規制スタンスについての質問に対して、「あらゆる選択肢を狭めないように環境整備することが我々の立場」であり、米国でGENIUS(ジーニアス)法が成立したことで「日米欧の目線がようやく揃ってきたと考えている」と述べていた。

さらに、パネルディスカッション後のQ&Aでは、会場からの「銀行のステーブルコインへの参入は期待されているのだろうか」という質問に対して「リスクを考慮して踏み出さなかったところと、踏み出したところで大きな差が生まれるという判断があると思う。先行したプレイヤーにはメリットがあるかもしれないが、当然リスクも多いので、我々としては可能な限りのサポートをするが、皆さんにも一緒に考えて欲しい」と答えていたことが印象的だった。

暗号資産は2026年、規制法(根拠法)が資金決済法から金融商品取引法へ移行することが見込まれている。金融商品、あるいは資産クラスとしての地位を固めることに加え、ビットコインETF、トークン化MMF、トークン化株式など、暗号資産・ブロックチェーンとTradFi(伝統的金融)の融合トレンドはますます大きく・強くなっている。

金融庁における担当の「課」への昇格は、まさにそのトレンドを反映していると言えるだろう。

|文・撮影:増田隆幸