日本円ステーブルコイン「JPYC」を発行するJPYC株式会社は27日、シリーズBラウンドのファーストクローズを発表した。アステリア株式会社をリード投資家に迎え、調達総額17.8億円を完了する予定で、円建てステーブルコインの社会実装加速を狙う。
2025年8月に資金移動業者として登録し、同年10月27日の正式発行開始から約3か月で、累計発行額は13億円を突破した(2026年2月16日時点)。月次平均成長率は約69%と、立ち上げ直後から急速な普及曲線を描いている。
日次の資産回転率は流通残高を上回る水準を維持しており、「預金として眠るお金」ではなく、決済・送金・交換で「常に動き続けるお金」として実需に基づく利用が定着しつつあることを示す。エコシステムの拡大も進んでおり、LINE NEXTとの協業やデジタルギフトへの対応を通じて一般ユーザーへの接点も広がっている。
直接口座開設数は1万3,000件(2026年1月末)に対し、JPYCを保有するウォレットアドレス数は約8万件と約6.2倍の開きがある。口座を持たないユーザー間でもオンチェーン上での流通が広がっており、ブロックチェーン固有の「摩擦のない金融体験」が浸透していると言える。現在はアバランチ・イーサリアム・ポリゴンの3チェーンに対応し、今後もチェーン追加を予定している。
13社が参画、多業種連合で社会実装を加速
出資者には1月16日に資本業務提携を締結済みのアステリアをはじめ、前日2月26日に業務・資本提携を発表したHEROZ、JR西日本イノベーションズ、ビットフライヤー・ホールディングス、明治安田未来共創ファンドなど計13社(その他含む)が参画した。金融・鉄道・フィンテックを横断する多様な出資構成は、JPYCを特定業種に限らない社会インフラと評価する各社の姿勢を裏付けている。
調達資金は4分野に重点配分される。(1)金融機関水準のセキュリティ・内部統制基盤の整備、(2)マルチチェーン展開とAIエージェント向けM2M(マシン・ツー・マシン)決済の開発、(3)事業開発・法務・コンプライアンス・ブロックチェーン人材の採用強化、(4)BtoB送金プラットフォームやデジタル給与払いを含む新ユースケース推進だ。なお、マイナンバーカードを活用したタッチ決済実証など周辺エコシステムの整備も並行して進んでいる。
岡部CEOは「累計発行額の拡大、ユースケースの多様化、パートナー企業との連携強化により、デジタル円経済圏は確実に広がっている。JPYCはAI時代における金融インフラとして、新たな経済圏の創出に挑戦し続ける」と述べた。


