この記事の要点
2026年3月3日、高市早苗首相の名前を冠した暗号資産「サナエトークン(SANAE TOKEN/SANAET)」を巡り、金融庁が関連業者に対する調査の検討に入ったことが明らかになりました。
東京新聞の報道によると、同トークンの発行に関与したとされる企業に暗号資産交換業の登録が確認されていない疑いがあり、金融庁は資金決済法上の位置付けを含め事実関係の確認を進める方針です。
日本の資金決済法では、暗号資産の売買や交換の媒介・取次ぎなどを業として行う場合、暗号資産交換業者として金融庁の登録を受けることが義務付けられています。
無登録で暗号資産交換業を営んだ場合、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科される可能性があり、発行や販売の具体的な実態が登録対象行為に当たるかどうかが、今回の調査の焦点となります。
同トークンは2月25日に発行が発表されており、高市首相は3月2日、自身のX(旧Twitter)上で関与を全面的に否定する声明を公表しています。
NoBorder_DAO、「SANAET」公開
高市首相名の「サナエトークン」公開、NoBorder DAO発プロジェクト|一時30倍急騰も
サナエトークン(SANAE TOKEN/SANAET)は、連続起業家の溝口勇児氏が手がけるYouTube番組「NoBorder(ノーボーダー)」に関連するコミュニティ施策の一環として発行された暗号資産です。
NoBorder DAO(ノーボーダーDAO)が推進する「Japan is Back」プロジェクトにおける意見収集のインセンティブとして設計され、ソラナ(SOL)ブロックチェーン上で2月25日に発行されました。
分散型取引所Raydium(レイディウム)で取引が始まると、価格は初値から一時約30倍まで上昇し、発行初日時点の時価総額は約1,700万ドル(約25億円)に達したとされています。
首相名を前面に打ち出したことが市場の関心を一段と高める一方、発行直後から公式プロジェクトとの関連性を巡る誤認も広がりました。
高市首相の公認後援会を名乗るXアカウントが関連投稿をリポスト(※現在削除)したことも混乱を拡大させ、業界内では発行体制を巡る法的リスクを指摘する声が早い段階から出ていました。
こうした事態を受け、高市首相は3月2日夜、自身の公式Xアカウントで声明を発表し、当該トークンへの関与を全面的に否定しました。
事務所側にも事前の連絡はなかったと説明しており、声明公表後にはSANAETの価格が0.015ドル付近から一時0.006ドルまで下落し、約58%値を下げています。
画像:CoinMarketCapより引用
翌3日には、トークンの設計・発行業務を担ったとされる株式会社neuのCEO松井健氏がXで経緯を説明し、NoBorder側への提案から設計、発行、運営に至るまで同社が一任されていたと明らかにしました。
総供給量10億枚のうち65%がリザーブとして運営側に確保されている構造も示されており、こうした発行および流通の実態が資金決済法上の暗号資産交換業に該当するかどうかが、金融庁の調査における主要な論点となる可能性があります。
政治家名を冠したトークンを巡っては、米国でも規制の在り方を巡る議論が広がっています。
ドナルド・トランプ大統領は2025年1月、ソラナ上で公式ミームコイン「オフィシャル・トランプ(Official Trump/$TRUMP)」を発行し、初値から2,000%超の急騰を記録しました。
その後、上位保有者をホワイトハウス晩餐会に招待したことが倫理面で問題視され、米民主党のクリス・マーフィー上院議員らが公職者による暗号資産の発行や宣伝を禁じる「MEME法案」を提出する動きに発展しました。
サナエトークン(SANAE TOKEN/SANAET)は本人の承諾を得ずに発行された点で事案の性質は異なりますが、政治家名の利用が投資家の判断に影響を及ぼし得る構図は共通しています。
金融庁が登録制度の適用範囲をどのように整理するかは、日本における政治関連トークンの法的位置付けや規制上の線引きを左右する判断となる可能性があるとして注視されています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.34 円)
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Source:東京新聞報道
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