● ホルムズ海峡の長期混乱は、原油・LNG供給を通じてインフレと景気減速を同時に招きやすい。
● ビットコインは短期では安全資産よりもリスク資産として売られやすく、初動は下押し警戒が必要。
● 中期以降は政策対応、ドル流動性、ETFフロー、先物レバ整理の進み方で反発余地が分かれる。

中東情勢の緊張が高まる中、市場では「ホルムズ海峡の航行が長期的に阻害された場合、暗号資産市場はどう動くのか」という問いが改めて意識されている。ホルムズ海峡は、世界のエネルギー供給における最も重要なボトルネックの一つであり、原油・石油製品の海上輸送の約2,000万バレル/日がこの海峡を通過している。これは世界需要の約2割に相当する規模であり、もし輸送が大きく阻害し続ければ、エネルギー市場だけでなく金融市場全体に強い波及効果をもたらす可能性がある。

問題の本質は、代替ルートの不足にある。ホルムズ海峡を迂回できるパイプライン能力は、推定で3.5〜5.5百万バレル/日程度とされており、仮に今の現状が長期化した場合、その不足分を完全に代替することは難しい。さらに、LNG輸送でも世界貿易の約20%がこの海峡に依存しており、原油だけでなく天然ガスや電力価格にも波及する可能性がある。

このような供給ショックが発生した場合、金融市場への伝播は一定の順序で進む。まずエネルギー価格が上昇し、インフレ期待が押し上げられる。その結果、実質所得が低下し、景気減速リスクが高まる。中央銀行はインフレ抑制と景気維持の間で難しい政策判断を迫られ、金融条件(ドル、金利、流動性)が変化する。そして最後に、投資家はリスク資産のポジション調整を行い、暗号資産市場にも影響が及ぶ。

重要なのは、ビットコインが「地政学ショックの際に常に上昇する安全資産」ではないという点である。2020年以降、ビットコインと株式市場の相関はむしろ高まっており、短期的にはリスク資産として売られやすい傾向が確認されている。実際、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻時、ビットコインは当日に最大約8%下落した。しかしその後数日で大きく反発したように、危機時の価格挙動は時間軸によって大きく異なる。

短期的には「リスクオフ」と「レバレッジ解消」が主導する。暗号資産市場はデリバティブ取引の比率が高く、先物建玉(OI)や資金調達率(Funding Rate)が一方向に偏ると、価格下落が清算を誘発し、ボラティリティが急拡大する可能性がある。そのため、地政学ショック直後はビットコインも株式と同様に下押しされるケースが多い。

一方で、中期以降の動きは大きく分岐する。もしエネルギー価格の高騰が金融緩和や流動性供給につながれば、リスク資産全体に資金が戻り、ビットコインも反発する可能性がある。また、資本規制や制裁回避などの地政学リスクが高まる局面では、暗号資産の実需が増えるケースも確認されている。

したがって、このような地政学イベントを分析する際には、価格そのものよりも「フロー」と「レバレッジ構造」を観察することが重要になる。具体的には、以下の指標が市場の転換点を示す可能性がある。

・取引所ネットフロー(売却圧力の増減)
・先物建玉(OI)と資金調達率(Funding)
・清算額とボラティリティ指標
・地域別オンチェーン活動の変化

これらを組み合わせることで、「パニック売りの局面」なのか、それとも「資金流入の初期段階」なのかを判断しやすくなる。

結論として、ホルムズ海峡の混乱が暗号資産市場に与える影響は、単純な「原油高=ビットコイン上昇」という関係では説明できない。短期ではリスク資産として売られる可能性が高い一方、中期以降は政策対応や資金フローによって大きく方向が変わる。

そのため投資家にとって重要なのは、価格予測ではなく、オンチェーンデータとデリバティブ市場の構造を同時に観察し、市場のリスクバランスがどこで変化するのかを見極めることである。

オンチェーン指標の見方

先物建玉(Open Interest / OI):先物建玉(OI)は、未決済の先物ポジション総量を示す指標。OIが増加すると、市場に新しい資金やレバレッジが入っている可能性が高い。価格上昇と同時にOIが増える場合、トレンドの勢いが強いことを示すことが多い。一方、価格下落とOI増加はショート増加、OI減少は清算やポジション解消を示唆する。

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資金調達率(Funding Rate):Funding Rateは、無期限先物の価格を現物価格に近づけるための調整メカニズム。Fundingがプラスの場合、ロングがショートへ資金を支払い、ロング優勢を示す。Fundingがマイナスの場合、ショートがロングへ支払い、ショート優勢を示す。極端なFundingはポジションの偏りを示し、清算による価格の急変動が起きやすい。

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提供:インベスコ・アセット・マネジメント株式会社